QlikSenseとはBIツールの1つです。まずはBIツールの説明からさせていただきます。
BIツールとは
BIツールとはビジネスインテリジェンスツールの略称です。
企業においては社内に集まるデータを元に日々、傾向分析・営業戦略の立案・売上予測の確認などを行っています。個人のサイトであっても訪れる人の属性分析(性別や年齢の割合など)や人気ページの分析などを行っているかと思います。
こういった分析をするためには様々な形で格納されているデータを一元管理し、可視化することが必要です。
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールとは、これらの作業を高速化し活用しやすい形で提供することで企業の意思決定に貢献できるツールです。
BIツールの種類と費用
有名どころのBIツールとしては以下があげられます。
- Tableau(タブロウ)
- OracleBI(オラクルBI)
- QlikSense(クリックセンス)
それぞれに「強み」があり販売戦略があるかと思いますが、いずれにせよなかなか高額です。
例えばQlikSense(クリックセンス)の場合、初期導入は125万円~(5ライセンス)となり、ほかに初期費用の20%が年間保守費用として発生します。
125万円の20%といえば25万円です。年間25万円のランニングコストです。
使いこなせれば非常に便利なツールですが、それなりの経営基盤がなければ導入するのは難しいところです。
QlikSenseの使用感について
私の場合、残念ながらすべてのBIツールを試した訳ではありません。
現在進行形で利用しているツールはQlikSense(クリックセンス)となっています。
尚、QlikSenseの前身であるQlikView(クリックビュー)についても利用経験があります。QlikViewはQlikSenseの前身ではありますが現在も運用されているツールです。
QlikViewとQlikSenseの違い
QlikSense/QlikViewはQlikTech社の製品ですが、Qlik製品の第一世代がQlikViewです。両方を使用した感覚では、QlikSenseはQlikViewのインターフェイスをより簡易にした感じです。
より簡易にしたとは言え、QlikSenseはQlikViewのもつ主たる機能は全て持っていますしQlikTech社としてはQlikViewからQlikSenseへ主力商品をシフトしようとしているようです。
実際、新規の顧客は大多数がQlikSenseを導入しているとQlikTech社が公式サイトに記述しています。ただし、QlikViewのユーザーがいる限りサポートは続けると書いてありました。
こういった点を考えると、今後導入するならQlikSenseの方がよさそうですね。まだまだQlik製品の技術的な記事を日本語で探すのは難しいので、なるべくユーザーが多い方が情報が手に入りやすいので・・・。
正直に言うと、QlikViewを使っていた環境からQlikSenseを使うことになったときは自由度の低さにかなりイライラしました。
インターフェイスが簡易になったということはある程度カスタマイズできる部分が制限されるということになります。
最初からQlikSenseであれば気にならなかった点かもしれませんね。
ここからはQlikSenseを中心に話を進めていきたいと思います。
QlikSenseの良い点と悪い点
良い点
データの処理速度が速い
とにかくデータの処理速度が速いです。これはQlikSenseの特徴の1つですが独自の「インメモリ技術」を利用し、高速な処理を実現しています。
何万件~何十万件というデータがあってもほとんど瞬間的にグラフを表示します。(複雑な数式が組み込まれたグラフは少しは時間がかかります)
このため、ストレスなく様々な切り口でデータを分析することができます。
直感的にデータを抽出できる
こちらもQlikSenseの主な特徴となりますが、「連想技術」を利用し、人間が頭で考えるような発想そのままにデータを抽出できます。
具体的に言うと、
「今期一番利益が上がった商品は何か?」と分析を始めたとき、
「その商品を一番売り上げた地域はどこか?」
「その地域の担当者は誰か?」
「その担当者が他に受け持っている商品は何か?」
「その商品の売り上げはどうなんだ?」このような発想になるかと思います。
これらをすべてQlikSenseのアプリ上で条件をクリックしながら確認していけます。
詳しくはQlikコア技術「連想技術」と「インメモリ技術」を参照されてください。
悪い点
情報システム部門でなければ仕組みを構築できない
どうしても仕組みを構築する部分は情報システム部門でなければ対応できません。
まず第一に、社内のデータベースの構造をすべて把握している必要があります。
どのデータベースにどのような形でデータが格納されているのか・・・それを熟知している人が必要です。
※「元となるデータがEXCELの数ファイルだけ」など単純な構成になっている場合は除きます。
第二に、QlikSenseの仕組みやロードスクリプトの書き方、グラフの作成方法などQlikSenseに関わる専門知識が必要になります。
情報システム部門の通常業務をこなしながら片手間にやっていてはこれらの専門知識はそう簡単に身に付きません。
このため、運用が軌道に乗るまでは情報システム部門の中でも専任者をおかなければ対応できないでしょう。
全社員に提供することは難しい
先にもお伝えしましたが費用がかなり高額になりますので全社員に自由に使えるライセンスを提供することは難しいと思います。
各部門に担当者を置いて担当者が分析するなど、うまく活用する方法を考える必要があります。
QlikSenseのライセンス形態(トークンと呼ばれています)は以下の2種類が用意されています。
ユーザーアクセス(パワーユーザー用)
特定のユーザーに対する無制限利用可能なアクセス権
ログインアクセス(ライトユーザー用)
ログイン単位で発生するアクセス権(最大1時間まで)
ログインアクセス10個がユーザーアクセス1個に相当します。
上記のアクセス権を上手に活用できればうまく運用することも可能です。
統計学の専門知識がなければ活用しきれない
情報システム部門で構築やグラフの作成はできるとして、情報システム部門でなくてもよいのですが社内に「回帰分析」や「相関分析」などの統計学の専門知識を持った社員はいるでしょうか?
せっかくのBIツールを活用するためにはできれば統計学に詳しい人材がいた方が良いでしょう。
BIツールの機能は豊富ですので統計学の知識でツールをフル活用したいものです。
QlikSenseはどこで買うの?
QlikSenseはパートナー契約をしている代理店から購入することになります。
実はどこから買うのか・・・が運命の分かれ目です。ちょっと大げさでしょうか?
けれど、実際そう感じたのです。市販の一般的なツールと異なり、圧倒的に使いこなせる技術者が少ない状態では、販売元のサポートが欠かせないからです。
販売元のサポートがしっかりしていることを購入時の第一優先で考えるべきだと思います。
私自身は2社のサポートを経験し、良い方・悪い方の代理店を知っていますがここで公言するのも問題があるような気がするので、気になる方はメールでご連絡いただければこっそり教えます。
なお、マージンは一切いただいておりません(笑)
おすすめの活用方法
これまでに簡単にご説明いたしましたが、「導入してみよう」と思われたでしょうか?
鼻から「高い」と公言してしまったのですでに退いてしまったかもしれません。
そんな方もまだあきらめるのは早いです。
QlikSenseには制限付きですが無料で使えるものもあるのです。
そんなに人数が多くない会社でPC1台を分析用としてしまえば全員でその分析ファイルを参照することは可能です。
http://asbepartners.com/knowledge/qlikinstall/
無料のツールの使い方はまた今度ご紹介します。